データ

登山日 : 平成23年8月9日

山 名 : 天蓋山

読 み : てんがいさん

標 高 : 1,527.3m

地形図 : 鹿間、下之本(岐阜県)

登山口へのアクセス(清見ICから)

・東海北陸自動車道の清見ICを出て、中部縦貫自動車道で高山方面へ。

・国道41号線と合流する交差点を左折、飛騨市方面へ。国府町「広瀬」の交差点で右折し、県道76号線に入る。目印は右(東北角)にバロー。

・この道は大坂峠(以前は十三墓《じゅうさんぼ》峠と云った)を越えて、国道471号線に出る道。カーブが多いので注意。一部狭いところもある。

・上宝町見座に出たら左折。見座発電所を左に見て右折。山吹峠へ。間違って471号線の「下数河」に出てしまったら栃尾方面に戻る。

・山吹峠への道は1本道。道幅も広く快適な峠越えをして、山之村キャンプ場へ。目印は右に食堂「夕顔の駅」の建物がある。

・左側の古民家の手前に登山者専用駐車場がある。登山口に近いところにある一番奥の駐車場へは入れない。

◎私は昨年、薬師岳に行った帰路、有峰湖から山吹峠を経て十三墓峠越えをしたことがあったので、この道を通ったが、十三墓峠のカーブ道を避ける別のルートもあるので、ご紹介する。

・清見ICから飛騨卯の花(うのはな)街道を経て古川町の消防署横の稲葉に出る。

・直進して古川町の市街地に入り、突き当りを左折する。

・JR杉崎駅の北の信号(杉崎)を右折して県道75号線に入り、峠を越え流葉スキー場の近くの国道41号線に出る。(東海北陸道が清見ICまでしか開通してなかった頃、富山への最短道だった。多少カーブはあるが、道幅も広く走りやすいので、私は上市町の穴の谷《あなんたん》の霊水を汲みに行くときは、いつもこの道を通った。)

・神岡町の通り抜けの道を知っている方は市街地を経由し国道471号線へ。不案内の方は、直進して船津北の信号を右折して国道471号線に入る。見座の発電所が見えたら、左折して山吹峠に向かう。この手前の坂巻の信号を左折して、伊西トンネル経由で山吹峠方面に出る道があるが、狭くてカーブが多く、分岐に標識が無いところもある。初めての方は、遠回りでも見座発電所から入る方法をおすすめする。

コース時間

《往路》 山之村キャンプ場駐車場---(70)---雀平---(25)--頂上

《復路》 頂上---(20)---雀平---(55)---駐車場

山行記

この夏は7月下旬に表銀座を2泊で歩く予定をしていた。ところが、天候不順の日が続き、週間天気予報は、「毎日、大気の状態が不安定で午後は雷雨、ところにより激しく降る」という予報だったので、なかなか出かけられないでいるうち、8月になってしまった。8月も第2週となり、やっと天候が回復する兆しが見えたが、同行予定者の都合が悪くなってしまったので、表銀座は後日にして、単独で天蓋山と白木峰に行くことに変更した。

山行記の前に、あまりなじみのない「天蓋(てんがい)」についてご紹介する。私は京都で時代祭りのアルバイトをしたとき、お姫様が出歩くとき、強い陽射しを避けるためにお付きの者が差しかける傘蓋が、天蓋の一種だと教えてもらったことがあるので、おぼろげながら形は想像できたが、虚無僧の被る深笠も天蓋というとは知らなかった。時代劇では「その被り物を取れ」とか「編み笠を取れ」と言うセリフは聞くが、「その天蓋を取れ」とは聞いたことがない。

なお、山名の由来は、飛騨市観光サイトによれば「東側から見ると山頂のやや西北にある1,243mのピークが、天蓋に似ているところからこの山に付けられていたのが、いつのまにか1,527mの頂の名称になりました」とある。ということは、山頂が天蓋に似ているのではないのだ。

阿弥陀仏 天蓋

《ご参考》天蓋とは、普段は目にする機会は少ないが、仏具のひとつで、仏像などの上にかざす笠状の装飾物のこと。様々な形があり、シャンデリアのように装飾が吊り下がっているものなどもある。左は宇治平等院の阿弥陀仏。仏様の頭上に天蓋がかざしてある。普段は近づいてみることができないので、天蓋だけアップすると右の写真。これは、京都の東寺が所有するもの。このほか、 虚無僧がかぶる藺草(いぐさ)等で編んだ深編み笠。 貴人(聖人)の寝台 、玉座、祭壇、司祭座などの上方に設ける覆いのことを云う。お姫様ベッドというと布などで上部を囲った天蓋つきのベッドを云う。



夕顔の駅 駐車場

自宅から山之村まで、およそ250キロ。ほとんど休憩なしで走り続けてきた。さすがに一人で運転してくると、山登りをする前に疲れてしまった。さいわい道は知っていたので、不安はなかったが、初めての道だと、もっと疲れただろう。

「夕顔の駅」という名の食堂に到着し、身支度をして登山届を提出しに行った。そのとき、係りの人から登山者専用の駐車場の場所を教えてもらう。今は登山者は一番奥の駐車場まで行くことはできないそうだ。

なお、この食堂は、4月下旬から10月まで営業とのこと。冬期は休業するので注意!

今日は奥飛騨の登山なので、熊除けの鈴をザックの左右につけて出発。キャンプ場入口のゲートを直進し、標識に従い左折し、キャンプ場の水汲み場を右折する。

キャンプ場入口から「夕顔の駅」を見る 登山者専用の駐車場
道標 登山口
キャンプ場突き当りを左へ 最後の水場

登山道は、いきなり白樺の倒木で通せんぼされる。登山道に入ったばかりのところにあるので、あまり歓迎されていないような気分になる。倒木をくぐって進むと、すぐ明るい白樺林の道となる。

右沢になったり、左沢になったりしながら、また尾根歩きもしながら進んでゆく。道は広いのだが、ヌカルミだらけである。前日、飛騨地方は大雨警報だったので、相当、降ったのだろう。

沢の水音とともに鳥のさえずりが聞こえる。ウグイスは分かるが、「ピーーッ、ピーーッ、スィッツ、スィッツ」と啼くのは何だろう?

小さな沢を渡る。山渓のガイドブックには、最後の水場とあるが、湧き水ではなく単に沢を流れる水なので、飲めるとは思えない。

登山口 明るい登山道
いきなり通せんぼ 明るい白樺の道を行く
沢を右に見る 沢を渡る
沢を右に見ながら進む 沢を渡る

登山道の目印 直登の道

この登山道の木々には、写真のような赤色の目印が付けられている。この印は頂上近くまで付いており、往路、復路のどちらからも良く目立つ。迷うような枝道もなく、道幅も広いので意味がない。積雪時用とも考えられるが、高いところばかりでなく、低いところにも付いている。 木に直接ペイントするのは、自然を愛する人のすることではないように思う。

最後の沢渡りをすると、しばらくはジグザグの登りとなり、やがて直登の道となる。粘土のような土も混ざっているので、よく滑る。往路には急登はあまり感じなかったのだが、帰路には急勾配を下りていることが感じられた。

木の根の階段を過ぎるあたりからは、ブナが目立つようになる。紅葉の頃は、きっと、きれいだろう。

登山道の目印 登りの道が始まる
振り返ると急登
木の根の道 振り返ってみると急登が分かる

急登りきると、平坦な所に出る。雀平かと思ったが、タイラというほど広くないし、雀平の目印である松の木がない。ひとつ手前のピークのようだ。登山道に入ってはじめて山頂が見える。

一旦下って再び登り返すと大きな松の木の下に倒木のベンチがある。ここが雀平。1,380メートルなので、山頂まで、あと150メートル。ここからは北から東にかけての展望が広がる。残念ながら山頂部分は雲に隠れているが、黒部五郎、北ノ俣方面を撮影する。

再び下りかけると、山頂まで30分ガンバレの道標が現れ、長い直登の道となる。登りきったところは、頂上手前のピークで、また下りとなる。そして、最後の急登が待っている。

雀平 雀平から頂上を見る
1,380メートル地点の雀平 雀平から山頂(左)を見る
黒部五郎 あと30分
雀平から黒部五郎方面を見る あと30分、ガンバレと手書きしてある

山頂の標柱 頂上

頂上は360度の展望。この日は辛うじて山頂部分まで見えるのは御岳だけで、乗鞍、穂高、槍、黒部五郎、薬師、立山、白山などは方向が分かるだけ。標柱を取り囲んだ椅子に山名プレートが貼り付けてある。

頂上では大型の蝶、20数頭が乱舞。ヒラヒラではなく、ツバメのように素早い動きで3〜5頭ずつかたまって追いかけっこをしている。キアゲハ、イチモンジチョウ、ルリタテハ、ヒョウモンの4種類だった。黄色、オレンジ、黒の色とりどりの蝶が舞う姿は、疲れを忘れさせてくれる。動きが早すぎて写真には何も写っていなかった。

なお、山頂の標柱は、田部井淳子さんの揮毫。神岡青年会議所の創立55周年記念で作られたもので、表側は前からあった標柱の文字を使い、裏側が田部井さんの揮毫(写真:右)である。

山頂の標柱 山頂全景
三角点 御岳
二等三角点 山頂から御岳

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