データData

登山日 : 平成22年3月29日
山 名 : 大文字山(上のPHOTOは、火床の「大」の中心から京都市街)
読 み : だいもんじやま
標 高 : 465.4m
地形図 : 京都東南部、京都東北部

登山口へのアクセスAccess

起点はJR山科駅。駅を出たら左へ。すぐ左の細い地下道をくぐると駅の北側に出る。これを右折して、3本目のやや広い道路を左折すると毘沙門堂までは住宅街の直線の道。立派な植樹をした庭の家が多いので、外から庭を見学しながら進むと正面に毘沙門堂が見えてくる。突き当たると、道なりに左に進む。しばらくすると右側に萱葺き屋根の建物が見えてくる。「高月」という蕎麦屋さんで、この角を右に折れる。ここがJR山科駅から大文字山に登るときの登山口である。道標があるので見過ごさないように。直進すると南禅寺に行ってしまう。

コースCourse

  

JR山科駅---(10)---毘沙門堂---(5)---登山口の分岐---(35)---Y字分岐---(3)---尾根出合---(10)---京都一周トレイル標識---(10)---頂上---(10)---火床---(20)---銀閣寺---(5)---哲学の道入口---(桜を眺めながら30)---若王子神社(みぞれ宿り)---(5)---南禅寺---(10)---地下鉄東山駅

端数は5分、10分単位で切り上げ、休憩時間は含んでいない。


この地図は国土地理院の電子国土Webにより作成したものです


記録/Report

平成21年11月に貴船・鞍馬に出掛けたとき、意識して秋の季節を選んだわけではなかったが、ちょうど紅葉の時期だった。今回は桜の時期となった。行き先は大文字山で、銀閣寺に下山後は哲学の道で花見をするという計画で出掛けた。岐阜駅から京都まで高速バスが出ているので、これを利用した。大文字山の頂上か火床で昼食を取るつもりだったので、始発の7時ではなく8時出発のバスにした。



毘沙門堂に突き当たる。左へ 登山口の道標


蕎麦屋さんの角の道標を右に入ると、スギと雑木の沢沿いの道に入る。車でも通れるほどの広い道である。道の途中から119番通報ポイントA−○という標識が次々と現れる。ウグイスの初鳴きを聞きながら、静かな山道を進んでいく。前日までの雨で、道にも水が流れており、ヌカルミを避けながら緩やかな勾配の道を行く。ポイントA-4を過ぎると道が細くなり、沢が右になったり左になったりする。A-7を過ぎると、それまで緩やかだった山道がアップダウンの道となりY字分岐に出る。すると正面のスギの表皮に直接、字が書かれ、大文字は左の矢印が表示してある。道標はありがたいが、こんな方法では、思わず「木がかわいそうやないか!」と心の中で叫んでしまった。切り倒されて放置されている木々の間を抜けると尾根に突き当たる。ここは右に進む。


ポイント番号はA−1からはじまる スギの林が続く
Y字分岐 他の表示方法もあるのでは・・ 木の散乱地帯を過ぎると尾根はもうすぐ


尾根道は広く、よく整備されている。尾根に出た途端、木々が音を立てて揺れるほどの突風が吹いてきた。雨も降ってきた。身を隠すようなとこともないので、濡れながらそのまま進む。A−12の標識は右へ進み、しばらく行くと尾根道と交差する道が現れ、京都一周トレイルの道標が現れる。標柱の簡易地図には44-2の文字が見える。

京都一周トレイルとは、市のHPによると京都の東南、伏見稲荷から、大文字山、銀閣寺、比叡山を経て北山を周り西の清滝から嵐山をへて阪急松尾駅にいたる全長約70kmのハイキングコースのことである。しばらく進むと、もうひとつ京都一周トレイルの道標(東山45)を左に見て、登り坂を真っ直ぐ進むとT字分岐に出る。道標に従って左に行くと、アッという間に大文字山頂である。山科の一部から北山あたりまで京都市内が一望できる。

登山口からここまで、誰一人とも出合わなかった。急に太陽が顔を現したので昼食にしようかと思ったが、山頂には女性ばかり7〜8人が、ベンチでお食事中だったので、山頂からの写真を数枚撮っただけで火床へ下りることにした。

ところで、大文字山というのは通称で、正式名称は如意ヶ嶽だと思っていた。ところが、国土地理院の地図を見ると大文字山から14キロほど東にも如意ヶ嶽という山がある。そこでウィキペディアで調べると「もともとは一帯の山塊を「如意ヶ岳(嶽)」と呼んでいたが、現在は火床がある西側の前峰(465.4m)を「大文字山」と呼び、最高点である主峰(472m)を「如意ヶ岳(嶽)」と呼ぶ」という解説があった。これに従い、このサイトでも山名は「如意ヶ岳(嶽)」ではなく「大文字山」と表記した。


尾根の出合 ここにも手造りの道標がある この標識では右へ
京都一周トレイル44−2の標柱 坂を登ったら左へ
頂上の三角点 山頂からの眺望 このあと小雪が降った


火床へ下りる道は粘土質に加え、雨上がりなので滑りやすい。最初に大文字の「大」のてっぺんの火床が現れ、階段を下りる。すると「大」の中心部に出る。弘法大師の祠もある。頂上より火床のほうがワイドなパノラマが広がるので眺めはよい。火床は火気厳禁となっていたのでバーナーが使えず、おにぎりだけの食事をしていたら、太陽が隠れ、突然、北風が強くなり雪が舞ってきた。積もるほどではないが、雨ではなく雪が降るということは、それだけ気温が低いのだろう。綿ポリの防寒着の中にセーターを着てきて正解だった。


「火床」 これが幾つも並んで文字を描く 「大」の右部分の火床


銀閣寺へは、「大」の横棒の左の端から下りる。下り口の右の石柱に銀閣寺の文字が彫られているが、正面に回らないと読めない。下り始めると、右にリフトが見える。火祭りに燃やすマキを運び上げるためのものだった。昔、京都にいたとき、マキは人間が担いで登ると聞いたことがあったのだが、今はそうではないようだ。HPで調べたら、火床75ヶ所、アカマツのマキが12,000本、重量4トンを運ぶのだから人力では大変な作業だ。ただし、リフトで荷揚げした後、75ヶ所の火床へは、地元の人とボランティアたちが手渡しリレーで運ぶという。いつごろリフトが出来たかは不明。

銀閣寺へは、はじめ石段を下りる。150段ある。走って下りる人に抜かれたが、下り階段で途中で転んだらどうするのか。と他人事ながら心配になった。石段の途中に金網のネットが張られている。以前、火祭りに使うマキを運んでいるとき、リフトからマキが落ちて怪我をした人があったそうで、その防護ネットだそうだ。石段を下りると山道になり、沢沿いの林道と合流する。


銀閣寺への下り口 中央右に石柱がある 150段の石段 ここを下った


銀閣寺道に出ると、人がだんだん多くなる。哲学の道を南下して南禅寺まで、迷う心配のない散策路を歩く。桜は、まだ五分咲きといったところか。銀閣寺から1キロぐらい歩いたろうか、哲学の道の西側に普通の民家だと思うが、庭には築山があり、池があり、川が流れる池泉庭園で、東側には仕立てスギがある立派なお屋敷があった。手入れをするだけでも大変な庭である。どんな人が住んでいるのだろうか。

しばらく歩くと、今度は突然、霙(みぞれ)となったので、若王子(にゃくおうじ)神社に小走りで駆け込み、雨宿りならぬ霙宿りをさせてもらった。2年前に来たとき、神社の境内にテントが張られているのを覚えていたので駆け込んだ。おかげで、ほとんど濡れずに済んだ。10分ほどで止んだので南禅寺へ。観光バスから次々に人が降りてくる。南禅寺といえば、目につくのが立派な三門。南禅寺では山門ではなく三門と表記される。石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」の名セリフで知られるが、これは全くの仮想話。この三門は五右衛門が死んで30年も経ってから建てられた。現在でも入場料を払えば楼閣に上がることが出来る。大人500円である(H22/3/29現在)

この辺りは、京都でも有名な料亭が多い。南禅寺と言えば湯豆腐や湯葉料理が特に知られているが、「奥丹」、「順正」の前を通り、湯豆腐ではないが懐石料理の老舗、「瓢亭」の前を通って三条通に向かった。南禅寺から京都駅へは地下鉄は蹴上(けあげ)駅の方が近いが、帰りのバスの時間に余裕があったので三条通を地下鉄東山駅まで歩いた。
久々に京都に行った記念に、あらかじめ調べておいた京手拭の店で、一番気に入った町屋手拭を1本買って帰った。

疎水沿いの「哲学の道」は桜の名所
ひときわ目を引いた池泉庭園 南禅寺の三門


京の町屋手拭・作品名「舞桜」


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