はじめに / Preface

テン泊で槍に行かないか?とお誘いを受けた。新穂高から2泊という余裕の日程。2泊の山行きは年1回しか行けないので、喜んでお受けした。今回は、山遊倶楽部のS氏を含め、3名で出かけた。

データ / Data

登山日 : 平成19年8月18日〜20日
山 名 : 槍ヶ岳
読 み : やりがたけ
標 高 : 3,180m
地形図 : 笠ヶ岳、槍ヶ岳

頂上から穂高・焼・乗鞍



コース / Course

1日目:新穂高村営駐車場---(10)---新穂高登山センター---(50)---穂高平小屋---(45)---白出小屋---(1H50M)---滝谷出合---(1H10M)---槍平(テン泊)
2日目:槍平---(4H30M)---槍ヶ岳山荘(小屋泊)
3日目:山荘---(25)---頂上---(20)---山荘---(1H40M)---槍沢・天狗ケ原分岐---(40)---水俣乗越---(30)------槍沢ロッジ---(20)---二の沢---(50)---横尾---(2H30M)---上高地



記録 / Report

深夜、新穂高に到着したが、駐車場は満杯。どうにか1台分のスペースを見つけ車中仮眠する。翌朝、周りの騒音で目が覚める。簡単な朝食後、北方向に笠ヶ岳を仰いで出発。3階建ての登山指導センターの右から坂を登り、ロープウェイ駅を通り過ぎ、蒲田川右俣谷沿いの林道を緩やかに登る。途中、林道をショートカットして穂高平避難小屋に出るつもりで右側を注意していたのだが、いつの間にか歩いているうちにショートカットの入口を通過してしまったようだ。左に笠を見ながら白出沢に出合う。同行者が「しらでざわ」というので、「しらだしざわ」と訂正した。奥穂の山荘からまっすぐ下りてくるとここに出る。このルートは歩いたことがないので、いつかやってみたい。林道はここまで。ここからは山道となる。

蒲田川の水の流れを聞きながら原生林の中を行くとブドウ谷、チビ谷を経て滝谷に出合う。沢を渡ると右手の岩の藤木九三のレリーフを見る。彼は滝谷の初登攀者だ。ここの水は飲めるとガイドブックにあるが、登り始めたばかりでお腹をこわしていては、残り二日もあるのでやめておいた。谷が狭くなり、道が傾斜を増す。南沢を渡れば槍平小屋が見えてくる。この日は、ここでテン泊。夕闇の中に雲が立ちこめ、北穂ドームがそそり立つ(他のパーティーの人がジャンダルムと言っていたが、方向が違うような気がしたので、帰って調べたら北穂ドームだった)。

なお、このときは、HPを作ることなど考えていなかったので、ほとんど写真を残していない。このため同行のS氏のご了解を得て写真をお借りし、下の画像で(S)と表示した。


夜明けの新穂高駐車場 滝谷避難小屋から北穂ドーム(S)
滝谷を初登した藤木九三のレリーフ(S) ペンキマークの目印


翌日は、飛騨沢沿いに飛騨乗越を目指す。樹林の中の緩やかな道で始まり、小さな沢をいくつか渡ると最後の水場に着く。槍ヶ岳山荘がはるか前方に見えてくると、間もなく千丈乗越の分岐に到着。大喰の西尾根末端を登るとニセ槍が見えてくる。道はやがて飛騨沢に入り、ジグザグ登りとなる。西鎌尾根を歩く登山者を望み、花の写真を取ったり、のんびりと登る。この日は小屋泊まり。昼には着いてしまうので急ぐ必要はない。3,020メートルの飛騨乗越を過ぎ、ひと登りするとキャンプ場が現れ、やがて槍の穂が目の前に現れる。人々々で賑わう山荘の食堂で昼食。槍の穂を見ると、ここも人々々。頂上まで長い行列が見えている。大渋滞につき、槍の穂は翌朝にしよう。午前中に到着した我々は2段式蚕棚の1階で一人0.5畳。しかし、午後到着した人が入った向かいの部屋は一人一畳だという。不公平だ!。夜中に雨音が聞こえるくらい激しい雨が降り続いた。テン場は床上浸水しているんじゃないかなァ。小屋泊まりにしてよかった。


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ここで小咄をひとつ。これは、40年前にガイドをしていたときに仲間が仕入れてきた。


槍ヶ岳直下に山小屋があります。槍に登る人は、ザックをここに置いて、身軽になって山頂を目指します。最近は、中高年登山者も多く、夏は、いつも宿泊者で一杯です。ある日、中年の女性が壁の前で立ち止まり「まァ、こんな所にピカソの絵が飾ってあるわ。山小屋でピカソなんて、何か不釣合ね」とつぶやきました。すると山小屋の主人は言いました。「奥さん、それ鏡ですよ」


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3日目の早朝、同行の二人は西鎌尾根から鏡平経由で新穂高に下りるので、ここで別れ、私は、朝ゆっくりで槍の穂へ。ほとんどの人が出発してしまった後なので、あたりには人が少ない。取り付くと前に若い男女がおり、女性の方が初心者らしく、男性が足の置き場まで指示しているので、超スローペース。ときどき叫び声を上げて踏み外し石を落としそうになるので、彼と彼女らの姿が見えなくなるまで待ってから進む。それでも途中で追いついてしまった。「先に行って下さい」と言うので追い越したが、この男性に頂上で写真を撮ってもらった。360度の展望を楽しんだ後、上高地へと向かった。




早朝のテン場 大槍と大喰の分岐(S)
槍の穂(S) 槍の頂上
上高地へ
槍頂上の祠(S) 上高地へ



坊主岩小屋から槍の画像は、こちらからご覧下さい。



・・・出合った花たち・・・


   
   

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◎お願い
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また、この日記は、登った日、当時の個人的な記録です。ヤマケイのガイドブックのように、必要な情報を網羅してはおりません。リスクは自己責任でお願いします。


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