☆まえおき / Preface

今回は博多駅前からツアー登山に参加する。山名の「岳滅鬼山」のいわれは、餓鬼を滅する「がきめき」が「がくめき」に転じたといわれている。今年(2020年)大ヒットしている「鬼滅の刃」の聖地巡りスポットにもなりそうだ。といっても、1000メートルの山なので、出かける方はそれなりの準備を。また、「岳滅鬼山」の隣に「岳滅鬼岳」がある。「岳」の方が8メートルほど高いが、三角点のあるのは「山」の方。「岳滅鬼山」で思い出した。山の名前は、ほとんど○○山か○○岳だが、「山」と「岳」の違いは何かと、若い頃、真面目な顔で論議したことがあった。結局、結論は出なかったが、今回の岳滅鬼山は、「岳」で始まり「山」で終わる。一つの山で「山」と「岳」の両方を持っている。同様の山の代表に岐阜・長野県境の「御嶽山」とか、月出山岳(かんとうだけ:大分県)がある。なお、この日、岳滅鬼山のある大分県日田市の最高気温は35.6℃。全国で今年初めての猛暑日を記録した。5月とは思えない高温注意情報の発令された日だった。私は500ccの水1本と昼食用のお茶250ccを持っていたが、スタッフに「今日は1リットル以上、ご用意を」と言われ、途中のSAで水を追加した(なお、「鬼滅の刃」ファンの方で、どうしてもここに行きたい方は、しゃくなげ荘から岳滅鬼峠の往復にされた方が良いと思います。それでも、峠までは渡渉もあり、道をよく知っている人とご一緒に。また、峠から山頂まではロープ場、垂直なはしごが連続してあり、登山経験のない方は避けたほうが良いかと)。


☆データ / Data

記録日:平成26年5月31日
山 名 : 浅間山/岳滅鬼山(上の写真は、岳滅鬼山から岳滅鬼岳を見る)
読 み : あさまやま/がくめきやま(さん)
標 高 : 831.5m/1,036.7m
地形図 : 英彦山


☆登山口へのアクセス / Access

博多駅から福岡都市高速、九州自動車道を経由し、大分自動車道の杷木ICで下りる。県道52号線から東峰村を目指し、湧水のある「水の駅」筑前岩屋駅近くの浅間山登山口を目指す。駅を右に見て林道に入る。カーブの多い狭い道をバスで登っていくと、左側に駐車スペースのある登山口がある。立派な木製の道しるべが立っている。


☆コース時間 / Course Time

浅間山登山口---(85)---浅間山頂上---(100)---三国境道標---(35)---岳滅鬼山頂上---(10)---岳滅鬼岳頂上---(60)---岳滅鬼峠---(15)---添田町登山口---しゃくなげ荘

《注》ツアー登山なので超ゆったりペース。また何度も休憩をしたり、アクシデントのあるたびに小休止、大休止しているので、コース時間は、参考にはならないかもしれない。上記の時間には食事時間は除いているが、休憩時間は含んでいる。また、添田町側登山口と しゃくなげ荘間でアクシデントが発生して大休止したので、時間を記載していない。岳滅鬼峠からしゃくなげ荘までは、普通に歩いたら1時間くらいだろう。


☆記録 / Report

今回のコースは、筑前岩屋駅近くの浅間山の登山口から尾根コースで浅間山に登り、岳滅鬼山から岳滅鬼峠を経由して添田町登山口に下り、英彦山大権現前を通り、しゃくなげ荘へという縦走コースである。個人で行くなら車2台で、それぞれの登山口に置き車が必要なので、ツアー登山に最適なコースである。ツアー登山は登山口までの足の心配がないこととトップについていくだけで道迷いの心配がないことが最大のメリットだが、その日の参加者の一番遅い人のペースに合わせるので、せっかちな人には向かない。今回の参加者は、スタッフを含め総勢20名。私は客としてツアー登山に参加することはめったになかったので、いつものクセでアンカーを歩いてしまう。

準備体操の後、登山道に入ると、まず小さな沢を渡る。このあと、いきなり急登となる。そして、スギの植林地帯を行くと左、谷コース、右、尾根コースの分岐がある。我々は浅間山経由で行くため分岐は右へ。このあとは尾根コースの名前どおり、尾根道を行く。危険箇所はないが急登は続く。ここで最初のアクシデント。心拍数が異常になったので休憩したいと言う女性が現れた。まだ、歩き始めて30分も経っていない。全員の足が止まる。この人、大丈夫かな?。スタッフがこの女性のザックを肩代わりして浅間山へ。以下、コース記録を写真でご紹介する。



登山口 急登 地図
登山口道標、この前に数台、駐車できる 急登を行くトップ 詳細地図が貼ってある
沢筋 急登 スギ林
沢筋を横切る 急登になると渋滞 登山道はスギ林の中
分岐 急登 尾根道
谷コース・尾根コースの分岐 急登をヨコから撮影 明瞭な尾根道を行く


浅間山の頂上は木々に囲まれ、ほとんど展望はない。四等三角点と頂上プレートがあるだけ。狭い頂上は、20人もいると座ることも出来ないので立ったまま休憩。心拍数の異常を訴えた女性は座っていたが、よく喋ること喋ること。これだけ喋ることができるなら心臓は大丈夫だろう。聞けばペグを6本も持ってきたのでザックが重いと言っていたが、どんなペグを持って来たのだろう。チタンでもアルミでも1本10グラムするか、しないか程度だと思うのだが・・・。ザックを持ってみたら本当に重かった。7~8キロはあったろう。まさか一昔前のテント用のスチール製ペグ?。頂上を過ぎると、しばらく下りが続き、谷コースとの分岐に出合う。このあとは緩やかにアップダウンを繰り返して岳滅鬼山へ。登山道からの展望は少ないが、開けたところからは英彦山の特徴ある山姿が見えた。黄砂の影響か、遠景の写真は鮮明には写っていなかった。

浅間山 山頂 尾根
浅間山頂上、展望はほとんどない 頂上プレート 尾根道を下る
谷コース出合 標識 三国境
谷コースと出合う ところどころに標識と赤テープがある 三国境の標識、左に行くと釈迦ヶ岳
道標 岳滅鬼山 三角点
大きく左にカーブする 岳滅鬼「山」頂上 三等三角点
岳滅鬼岳 頂上プレート しゃくなげ林
岳滅鬼「岳」頂上 頂上プレート しゃくなげの林を下る

岳滅鬼山の頂上は展望もあり広く、三等三角点がある。目の前の岳滅鬼岳を見ながら下って登り返す。このあたりはしゃくなげの木が多い。残念ながら花は終わってしまっているが、もう、一ヶ月前ならしゃくなげに埋め尽くされた道を歩くことが出来ただろう。岳滅鬼岳から岳滅鬼峠までは、距離は短いが三つのピークを越えながら下る。その間、垂直のはしご場と数箇所のロープ場が続く。今回のコース最大の難所である。「左手はロープを掴んで、右足はその下の窪み、もう少し下ですよ・・・」など、ガイドやスタッフのサポートを受け、三点確保しながら下りる。はしごの下段はかなり老朽化しており、針金でまいであるのでグラグラしている。これは怖い。日田市の管理なのか添田町になるのか分からないが、担当者の方々、早急にはしごの固定をお願いしたい。このはしごを全員が下るのに20分かかった。このあと、お一人の女性がピーク越えで足を痙攣させる。ここまで4時間も歩いているので、年配者には相当の負担だろう。

岳滅鬼峠には石碑があり、「是より北は豊前の国小倉領」の文字が刻まれている。右に行けば、日田市側の登山口に出ることが出来るが、我々は添田町のしゃくなげ荘に下りるので、峠の分岐は左へ。タラタラの下りとなる。植林地帯、渡渉、沢沿い歩きを繰り返して林道と出会う。一旦林道に出るが、バスは入って来れないため、さらに沢沿いのゴロ石道を下る。ここで転倒された方が腕を骨折されたらしく、手当てのため1時間近く大休止する。再出発後、英彦山大権現前を通り、バスの出迎えを受け、しゃくなげ山荘で温泉入浴。一人600円のところ、スタッフの采配で団割料金に。

はしご ロープ ロープ
垂直のはしご はしごに続いてロープ ロープ場が続く
眺望 峠の石碑 下山
途中の岩場から気持ちの良い眺望 岳滅鬼峠の石碑 しゃくなげ荘に向けて一路、下る
登山口 スギの木 渡渉
添田町登山口 スギの木がアーチを描く、原因は? プチ渡渉
渡渉 英彦山大権現 しゃくなげ荘
またまた渡渉、石の頭を飛んで渉る 英彦山大権現 しゃくなげ荘


=山で出会った花=




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コース地図は国土地理院の電子国土Webにより作成したもので、コースの赤線はイメージです。

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