沖縄の山歩記

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か つ う だ け  /  ふ る し だ け
嘉津宇岳/古巣岳
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嘉津宇岳


今回の背景に琉球藍染めを使用しました。藍の色素を用いた染めものです。藍の葉を発酵させて色素インジゴを水溶性とし、この溶液に糸などを浸したあと空気にさらすと、酸化して藍色に発色するものです。この液に繰り返し浸すことによって濃色となります。



データ / Data

登山日 : 平成25年2月25日
山 名 : 嘉津宇岳/古巣岳
読 み : かつうだけ/ふるし(す)だけ
標 高 : 452m/391m
地形図 : 名護

アクセス / Accses

1.沖縄自動車道、許田ICを出て国道58号線を名護市方向へ。
2.名護市内を通過し「宮里3」の信号は道なりに進むと右カーブだが、左の車線から直進し国道449号線に入る。
3.屋部郵便局を右に見て500メートルほど進むと旭川入口のバス停がある。
4.バス停を過ぎると右側に嘉津宇岳入口の大きな標識があるので右折する(信号はない)。すぐ手前の信号ある交差点を右折しないこと。
5.あとは道なりにゴルフ練習場の前を通り、勝山農村交流センターを左に見て勝山公民館奥の駐車場へ。
6.勝山つたえ隊事務所の右の道(舗装路)を行くと登山口に出る。

勝山公民館駐車場---(15)---登山口---(65)---古巣岳頂上---(55)---嘉津宇岳頂上---(45)---古巣岳頂上---(80)---駐車場

端数は5分単位で切り上げ。頂上以外の休憩時間を含む。

記録 / Report

名護市の市街地から西方に目を移すと、本部半島の付け根に広がる丘陵地域がある。この丘陵地で一番高い山が452メートルの嘉津宇岳で、この一帯は嘉津宇岳や安和岳、八重岳の頂上を結んで沖縄県指定の天然保護区域(天然記念物)や自然環境保全地域にもなっている。今回の山も、名護岳に引き続き強い味方が同行してくれた。NEOS山登りクラブのメンバーの皆さんである。NEOSとは、浦添市に本店があるアウトドアスポーツショップのこと。


勝山公民館の女性の方に車の駐車のお断りを入れ出発。この日は朝から青空が広がり、公民館の駐車場からは、ひときわ目立つ名前どおりの三角山、安和岳、航空管制レーダーや米軍の通信アンテナが並ぶ八重岳、高さが300メートル台とは思えないほどの山姿を見せる古巣岳がすっきりと眺められた。勝山つたえ隊(地域おこしで勝山の嘉津宇岳や安和岳登山をサポートしている。有料で登山ガイドもする。詳しくは、下記にURLを記載)の小さな建物(事務所)を右に下がった道を行く。インパチェンスの花が咲き、シークァーサー、カニステル、花の終わった桜の木々を眺めながらヤギ小屋の前を通り貯水タンクのある登山口に着く。シークァーサーの畑の中を抜けると涸れた沢道となる。この日のシークァーサーの花は、まだ蕾だが1ヵ月後には白い花が咲くという。沢を遡行するが、このところ雨が降っていないので苔が乾燥しており、滑るところもない。直登すると分岐に出る。直進は、そのまま沢を直登して嘉津宇岳と安和岳の分岐道に繋がる。左は三角山を経由して安和岳へ。右は沢から離れて古巣岳へと続く。我々は右の道を行く。



 
p 公民館 勝山つたえ隊
駐車場 勝山公民館 勝山つたえ隊事務所と三角山(Nさん撮影)
古巣岳 八重岳 三角山
駐車場から古巣岳 駐車場から八重岳 駐車場から三角山(左)と安和岳
登山口 シークァーサー畑 沢歩き
登山口 シークァーサーの畑を行く 涸れた沢に入る

しばらくは山腹をトラバースするような道を行くが、徐々に傾斜を増す。登山道は造られた道とは異なり亜熱帯の木々が道を覆い、自然の密林の中のようだ。どこでも歩けそうだが、ピンクテープやリボンが進む道を教えてくれる。急登が突き当たると標識がある。右へ行くと古見台の天然のテラスがある。オーバーハングの岩壁を伝っていくと名護湾が見下ろせ、先回登った名護岳から沖縄本島の中南部の恩納岳までの山並が見える。来た道を少し戻って再び亜熱帯の林を更に奥に進む。下からはきれいな三角形に見えた三角山は形を崩してしまい、この辺りからは単なるピークにしか見えない。険しい石灰岩の岩山を乗り越えて進むと、展望のよい古巣岳頂上に着く。真北にある嘉津宇岳の頂上には、大勢の子供たちが元気に声をあげているのが聞こえる。あとで分かったことだが、保育園の子供のようだった。



 
分岐 亜熱帯の林 登山道
登山道分岐 古巣岳は右へ 亜熱帯の林に入る こんな道を行く
古見台分岐 古見台へ 名護湾
古見台との分岐 古見台へ 古見台から名護湾
登山道 岩の穴 古巣岳
岩場を乗り越える 不思議な岩の穴 古巣岳頂上
嘉津宇岳 八重岳 道標
古巣岳から嘉津宇岳 古巣岳から八重岳 道標


古巣岳からは、一旦、大きく下って登り返す。鞍部からは、屋我地島から古宇利大橋が見えた。途中、大きな「くわず芋」があったので撮影したが、葉の大きさは、女性のコメディアン「キンタロー。」の顔よりデカかった。くわず芋の名前は同行のNさんに教えてもらった。Nさんは地元の人だけに植物にも詳しい。前回、名護岳に行ったときもツワブキのことを沖縄ではチーパッパと言うことも教えてもらった。「くわず芋は食べれますか?葉が大きいので傘になりますね」と聞いたら「食べられないし、触れるとかぶれますよ」とアドバイスされた。あとで、調べてみたら、食べられないので「くわず芋」と言うそうだ。納得!。


《詳細な補足》「くわず芋」についてNさんのお母様から「色々種類があって、食べられるものと食べられないものがあります。 それに、くわず芋の周辺には雑草が生えないので、畑などにあると植草むしりの手間が省けます。 かぶれるのは正確には、その茎や葉っぱを傷つけた時に出てくる白い液体(血)に触れた場合です」と教えていただきました。感謝します。


中腹のトラバースから再び登りに差し掛かるとジャングル状態の林のヤブ漕ぎに続いて手が切れるような尖った岩に思うように進めない。岩がナイフの刃のようなので手袋必携のコースだ。それも軍手か皮製でないと役に立たない。ストックを持っていたが、無い方が歩きやすそうだ。バランス感覚には自信がないので、往路は足を下ろしたら岩と岩の間に挟まってしまい、大腿部まで踏み抜いてしまった。痛かったがスラックスに破れもなく、血もにじんでいなかったのでたいしたことはないと思っていたが、家に帰って見たら見事な擦過傷になっていた。この地帯を無傷で歩くのは難しい。また、帰路はブッシュで岩が見えなくて右ひざをぶつけてしまった。これも3センチくらいの痣になっていた。本土の山にはない地形が続く。両手を使って乗り越えてゆくと行く手が明るくなり、頂上が近いことを知る。


ふもとの駐車場からおよそ2時間。岩がゴツゴツした嘉津宇岳の頂上は360度の展望。リーダーのTさんが与論まで見えるというので、目を凝らすと辺戸岬の先にかすかに見えた。Tさんの視力は2.0だとか。先ほどまで大声を出していた園児たちの姿はない。子供達とは、すれ違っていないので、東の展望台登山口に下りたようだ。我々は1時間20分の長時間滞在の後、Kさんが頂上の玉座(大岩)に着座した写真の撮影後、頂上を後にして同じ道を帰った。登山道からは遠くの保育園の集団を見た以外、誰とも会わなかった。ということは、一人で出かけてケガをしても誰も助けてくれないということだ。この山の単独行は自粛しよう。



 
登山道 嘉津宇岳 くわず芋
岩場と樹林の間を行く 嘉津宇岳が近づく くわず芋
登山道 岩の道 古宇利島
足元も見えない道を行く 手が切れるように鋭いカルスト岩の道 嘉津宇岳から古宇利島
嘉津宇岳頂上 頂上の旗 伊是名島
嘉津宇岳頂上 がじゅまる保育園の旗(Nさん撮影) 嘉津宇岳から遙か伊是名島

《ご参考》
なお、展望登山口からの記録は、嘉津宇岳/展望台登山口へ
地域ボランティアの登山案内(有料)など、「勝山つたえ隊」の問い合わせは勝山公民館、電話0980-53-8336へ。
ブログは、http://katsuyama.iku4.com/Category/9/



コース地図は国土地理院の電子国土Webにより作成したもので、コースの赤線はイメージです。

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◎お願い
この日記は、登った日、当時の個人的な記録です。ヤマケイのガイドブックのように、必要な情報を網羅してはおりません。リスクは自己責任でお願いします。